治療法を決めるときに、知っておいて頂きたいこと
これまで述べてきたように、乳がんの治療法を話し合うときに、特に頭に入れておいて頂きたいのは次の3つです。
- しこりの大きさと乳房内での拡がり具合
- リンパ節への転移状況
- 身体の他の所への転移の有無
触診、マンモグラフィーや超音波など画像診断、その他の検査でこの3つが判定され、この所見をもとに治療方針を検討することになります。
乳ガンの進行度は6つに分けられます
また、1~3を組み合わせて乳がんの進行度(臨床病期)が決められます。乳ガンの進行度は下表のように病期0~4の5段階および非浸潤がんに分類され、病期の数値が増えるにしたがい予後が悪くなります。
早期乳がんは、極めて予後が良好です 。
しこりの大きさが2cm以下で、リンパ節や全身への転移がないものを早期乳がんといい、極めて予後が良好です。
乳がんの進行度(臨床病期分類)
乳がんの基本的な治療方針
乳がんの治療法には手術、放射線照射、化学療法(かがくりょうほう:抗がん剤による治療)、内分泌療法(ないぶんぴつりょうほう:ホルモン療法)などがあります。
乳がんの最も基本的な治療は手術
この中で最も基本となり、第一選択されるのは手術です。その理由は、身体の中にできた悪い細胞を一度に総て取り除いてしまうことが治療への近道であり、他の治療法を加えることにしても、手術によりがんの量を少しでも減らす方が、他の治療を成功させる確率が高くなるからです。
病期の程度を考えながら、手術法を決めます 。
手術の方法や手術後の治療は、しこりの大きさが拡がり、進行度、悪性度などによって異なりますが、乳房を全て取ってしまう手術だけでなく、乳房を温存する手術法がありますから、あなたの病気の程度を考えながら、どの方法がよいか医師とよく話し合ってください。
がんが大きすぎて手術だけでは局所のがん細胞を取り除くことが難しいと考えられる場合や、大き目のがんを小さくして温存手術できないかと考える場合には、手術の前に抗がん剤を投与することもあります。乳房以外のところに既に転移している場合には、最初に手術を行うこともありますが、基本的には手術以外の治療法が主として検討されることになります。
※手術前にがんを小さくするために、抗がん剤投与を行う。