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乳がんにはどのような手術法があるのか?

乳房切除術(にゅうぼうせつじょじゅつ)

胸筋温存(きょうきんおんぞん)乳房切除術

この手術法は、現在、わが国における乳がん手術の最も標準的な方法です。
乳房は切除しますが胸筋を残すように手術します。
”非定型的(ひていけいてき)乳房切除術”と呼ばれるきおともあります。乳房を全て切除し、大胸筋や小胸筋を残して、腋窩(えきか)や鎖骨下のリンパ節の郭清を行います。胸筋を残すため、リンパ節の郭清が少しやりにくくなりますが、十分郭清できるようにいろいろな術式が工夫されています。
胸筋のうち、大胸筋のみを残す”Patey(ペティー)法”、大胸筋と小胸筋を残す”Auchincloss(オーチンクロス)法”、”Kodama(コダマ)法”などがあります。どの方法を用いるかは病気の進行度や病院によって多少異なります。

長所

胸筋を残すため、手術した後、わきの下がへこむことがなく、皮膚に肋骨が浮き出ることもあまりありません。胸筋を切除する手術に比べて、腕や肩の筋力低下や運動障害の程度が少なくなります。

短所

胸筋を切除する手術ほどではありませんが、腕のむくみを生じることがあります。腕や肩の運度障害を回復させるためには、術後の十分なリハビリテーションが必要です。また、胸筋の神経が保存されていないと、胸筋を残しても、後になって筋肉の萎縮(いしゅく)が起こります。

その他

全乳房切除術

乳房のみを切除するだけで、腋窩リンパ節の郭清をしない”全乳房切除術”という方法もあります。この方法は、わきの下の皮膚の知覚低下があまり起こりませんし、腕や肩の運動障害、むくみを軽くすることができますが、がん細胞が腋窩リンパ節に転移している場合には、そのまま残ることになりますので、適応とする人をきちんと選ばなければなりません。

乳房温存術(にゅうぼうおんぞんじゅつ)

乳房扇状(せん(おおぎ)じょう)部分切除術

温存術の中で代表的な切除法で、
次の円状部分切除術より切除する範囲が広い手術です

この手術法は、しこりとその周囲の正常乳腺組織を、乳頭を中心にして扇型に切除し、必要に応じて腋窩(えきか)リンパ節を郭清(かくせい)する方法です。乳頭方向へは乳がんが乳管内をはって進むことがあるため、広くとるので、残った乳房にガン細胞が取り残された可能性がある場合は、再手術するか、放射線照射を行います。

長所

乳房温存術の中で、切除する範囲が広いので、比較的しこりが大きい場合でも取り残す可能性が少なくなります。手術は乳房切除より小さくなるため、肩の運動障害が軽度ですみ、術後のリハビリテーションにより早く回復します。

短所

乳房が小さい場合には、残った乳房に変形を生じるため、いろいろな工夫をします。腋窩リンパ節を郭清した場合には、乳房切除術より軽度ですが、腕のむくみを生じることがあります。

乳房円状(えんじょう)部分切除術

しこりとその周辺を部分的に切除する手術です
この手術法は、しこりとその周りの正常乳腺を、部分的にまるく切除し、腋窩(えきか)リンパ節を郭清(かくせい)する方法です。残った乳房にがん細胞が取り残されてる可能性があるので、原則として放射線照射が併用されます。

長所

切除する範囲が比較的小さいので、乳房が小さい人でも残った乳房の変形が少なくてすみます。腕や肩の運動障害が軽度で、術後のリハビリテーションにより早く回復します。

短所

しこりの大きさに比べて乳房が小さい場合には、残った乳房が変形することがあります。切除する範囲が小さいので、乳房扇状部分切除術に比べてガン細胞が取り残される可能性が高くなります。ガンを残さないようにするためには、術前の画像診断をしっかり行うことが必要ですし、少し大き目の円状部分切除を行います。腋窩リンパ節を郭清するので、腕のむくみを生じることがあります。

腫瘤摘出術(しゅりゅうてきしゅつじゅつ)

しこりだけを取る手術
この手術法は、正常の乳腺をほとんど切除しないで、しこりのみを取り除き、必要に応じて腋窩(えきか)リンパ節を郭清(かくせい)する方法です。通常は、ごく小さなしこりを取り除くときに行いますが、がんの場合はがんを取り残す可能性が大きいので、なるべく行わないようにします。がんの人に行った場合には、放射線照射が併用されます。

長所

乳房が小さい場合でも、変形する可能性が少なくなります。

短所

切除する範囲が非常に小さいので、がん細胞を取り残すことを覚悟しなければなりません。腋窩リンパ節を郭清した場合には、腕のむくみを生じることがあります。

センチネルリンパ節生検

近年、乳がんの近くにラジオアイソトープや色素を局所注射して、ガンに一番近接している液窩(えきか)リンパ節(これをセンチネルリンパ節、歩哨(ほしょう)リンパ節と呼びます)を同定し、これを病理検査やさらに詳しい検査によってガンの転移があるかないかをみて、ある場合は液窩リンパ節を郭清(かくせい)し、ない場合はこの生検にとどめてそれ以上の郭清を行わない方法が研究され、臨床医の大方の認知を受けています。もし、センチネルリンパ節に転移がなくても郭清を中止しても安全であることが確実であれば、転移のない人(全体の60%)の画一郭清をやめることができ、この人達への液窩郭清の弊害をなくすことができるわけですが、きちんと行わない場合にはリンパ節転移のある人を見逃すことにもなります。